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A.「火葬をいつまでしなければいけない期限というのは決まっているのでしょうか。エンバーミングした場合でもいつかは火葬するのではと思います。(53歳女性)」
法律的には、いつまで火葬しなければいけないということは決まっていません。しかし遺体に対する国民感情を考えると、常識的な期限はあると考えてよいでしょう。
まず、問題を整理しましょう。死亡すると、届出義務者は死亡の事実を知った日から7日以内(国外では3ヶ月以内)に死亡を届け出、その際には死亡診断書または死体検案書を添付すべきことは、戸籍法第86条に定められています。
これは医学教育のためにとても重要なことです。医師養成のために貢献するという、この主旨を理解し、賛同する人が自分の自由な意思で登録しておきます。このとき家族のある人は家族の同意を必要とします。登録の申込先は、篤志家団体または近くの各医科大学や歯科大学になります。
次に火葬についてですが、墓地、埋葬などに関する法律の第5条に、埋葬または火葬を行おうとする者は「市町村民に許可を受けなければならない」とあり、この許可を得るためには死亡届が受理されていることを条件としています。いま日本の火葬率は99%ですが、法律的には埋葬(墓埋法では”埋葬”は”死体を土中に葬ること”つまり土葬を意味します)も許されています。
24時間以内の埋葬または火葬の禁止(感染症法などに定めのあるときは除く)は同法第3条に定められていますが、ここには「埋葬または火葬をしなければならない」とは書かれていません。但し、第9条に「死体の埋葬または火葬を行う者がいないときまたは判明しないときは死亡地の市町村長がこれを行わなければならない」とあるので、遺体は埋葬または火葬されるべきことが暗黙に了解されていると言えるでしょう。
遺体の保存については、死体解剖保存法第17条に「医学に関する大学または医療法の規定による総合病院の長は医学の教育または研究のため特に必要があるときは、遺族の承諾を得て、死体の全部または一部を標本として保存できる」とあり、これは献体遺体などの解剖後の遺体についての特別規定です。
こうした特例を除いて、長期に遺体を保存することは刑法190条の死体遺棄罪に該当する危惧が発生します。常識的には腐敗が進行して腐臭を発生させるまでと言えるでしょう。
こうした特例を除いて、長期に遺体を保存することは刑法190条の死体遺棄罪に該当する危惧が発生します。常識的には腐敗が進行して腐臭を発生させるまでと言えるでしょう。
エンバーミングされた遺体は理論的には腐敗しないので、期限はないように思われますが、国民感情上無期限ということはありません。IFSAではその点を考慮し、自主基準で50日以内と制限をつけています。それは死者祭祀が十分に行われる期限ということで、四十九日の慣習などを考慮しそれを超えた保存は禁止しています。これは妥当な解釈であると思われます。